数学科の学生は
代数学の講義で, ``ユークリッド整域'' なる概念を習ったこと
と思う.
整数環 , 一変数多項式環
はともに
ユークリッド整域であり, 次の割算定理が成り立つ:
を 整数環または一変数多項式環とする.
このとき
の
でない任意の元
,
に対して,
ユークリッド整域はこの割算定理の成立を仮定した 整域であり, ユークリッド整域で議論を展開しておくことにより, 整数での議論もー変数多項式での議論も共通化が 可能である. 計算機科学における, Object 指向, 部品化, 抽象データ型等の概念も, このような現代数学の考え方-- 抽象化, 公理化-- と同じである. 現代数学では, このような思考の節約は多くの分野で有効であったが, それが数学の全てではない. 同じように計算機科学における Object 指向や抽象データ型の 概念( Java などで実現されている)は, 有効な局面も多くあったが, 万能というわけではない ことを注意しておこう.